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猪名のささ原 風吹けば〜源氏物語の香りを探る〜 3章 夕顔の帖

 夕顔といえば、光源氏の永遠の恋人とでも言うべきでしょうか。源氏物語の登場人物としても、特に良く知られた一人です。
実は、夕顔の物語は結構複雑な構成で、まずは源氏と夕顔の出会いのシーン。実は最初に香りに因んだ逸話が登場しますが、その後は良く皆さんご存知の通り、深夜に幽霊に遭遇して、明け方になって恋人の夕顔が息を引き取ってしまいます。そして源氏もショックで寝込んでしまい、そこにライバル(というか・・・)である頭中将が源氏のお見舞いに訪れます。源氏にとっては、微妙なタイミングで一番微妙な立場の友人がお見舞いに訪れてくれた訳でしたが、そこで夕顔の忘れ形見の幼い子の話を聞きます。この話はまだ先の事になりますが、源氏物語の中で「夕顔」が特に重要人物の一人として描かれている事を印象付けるエピソードと言えるかも知れません。

 夕顔中心の物語かと思ったら、不意に空蝉からの便りが届き、和歌のやりとりが続きます。実は空蝉に関わるエピソードを思い出しながら、改めて夕顔について回想するという少し凝った構成になります。夕顔と空蝉を交互に描き分ける事で、強く印象付けると共に、実は源氏物語の骨幹になる重要人物のキャラクターとして故意に二人を交錯させているような印象すら感じます。

春の長谷寺の境内

 そして、夏が過ぎて夕顔の四十九日の法要に入り、そこで幽霊の正体がおぼろげに描かれます。この夕顔の章の最後は、空蝉が夫である伊予介に連れられて伊予国に下るシーンで終わりとなりますが、今時風に解釈するなら全編伏線に富んだ興味深い構成になっているように思います。



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 さて、物語に登場する香りのシーンは、夕顔の白い扇に炊き染めた香りです。良く使い込んだ良い香りの扇と記述されていますが、夕顔の侘しい住まいの描写と(源氏にとって)良い香りとのギャップがこの物語の大事な伏線になっています。そして、その扇に記された歌が源氏の興味を引く事になります。

心あてにそれかとぞ見る白露の
  光添へたる夕顔の花

 夕顔は、何とも思わせぶりな歌を源氏に送ります。そして、源氏も即座に反応しますが、割と早い段階で、かつて友人の頭中将が話題にした女性だろうと推測する事になります。そして、会う毎にそれが確信となりますが、夕顔も自分から明かそうとはせず、結局は素性を訊ねる前に突然亡くなってしまいます。
 ところで源氏物語冒頭の「帚木」の章では、頭中将は会話の中で夕顔(常夏の歌の女性)との間の子供について触れているので、源氏は既にその子の事を知っていたはずですが、さてその心情はどんな感じだったんでしょうか。



2018.2.28掲載
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